連載小説 言霊-コトダマ- 第一話“天変地異” 2p

千里Side
 
夜。
静けさが家中を蝕んで(むしばんで)いる。
俺は、時計を見ながらそっとつぶやいた。
「…そろそろか。…ったく、親父達、今は世界のドコに居んだよ?俺にこんな面倒くせぇ仕事を押し付けやがって…。仕方ねぇ。ハァ…、清音ン所、行くか」
俺一人しか居ない、この広い屋敷。
「静かすぎて気味悪ぃ…」
大体、両親はいっつも海外だし、帰って来たと思えば、またドッカ行くし…。
俺の事は昔からほったらかしなんだよな…。
清音は、そんな俺のそばに居てくれたんだ。“夜の間”だけ…。
「清音…?」
外に出るとすぐに、清音が近くに居る感じがした。
「千里?…千里だよねぇ?うわ、この姿で会うのは久しぶりかも」
目の前に、忍(しのび)の姿をした、清音が現れた。
「確かに。ここしばらくはずっと仕事も無かったしな…」
俺は、今の今までずっと付けていた眼鏡を外した。
「さぁ、悪者狩りを始めましょうか…」
俺逹はその場を離れて、現場へと向かった。
                ◆  
「“あの力”我が手中に有り。“あの力”さえあれば、世界を意のままに出来る。…恐ろしい、“力”…。皆よ、植崎清音を…捕らえよ。」
闇で低く嗤う(わらう)声…。今はまだ、届かない…。
 
-to be continued…-