連載小説 言霊-コトダマ- 第一話“天変地異” 6p

千里Side
 
「清音…」
あっけにとられる。
…逃げられてしまった…。
…あいつは間違いなく、昼の清音だ。
「ハァァ…」
深くため息をつく。
「仕方ない、全く…。あの2つの人格、何とかなりませんかねぇ…」
俺はとっさに追いかける。
清音の前に立ちはだかった。
尚も清音は逃げようとする。
「な…っ、ちょっ、逃げるなっ…、清音っっ!!」
清音の肩をガシッと掴んだ。
「う…あの…、香賀…君!?…あのっ、やだっ…!!」
振りほどこうとする清音の肩を、更に強くぐっと掴む。
「落ち着けっ!!…っ、清音っっ!!」
…ピタリ。
清音の行動が止まった。
「あ…、ああ、あの…?」
俺はもう一度深くため息をつくと、言った。
「まずは、手当てが先。…それとこの林の敷地、結構広いから一人で闇雲に走ると迷うよ」
そうして俺は、清音の手当てをし始めた。
 
-to be continued…-