チョコっとお題小説。〜センパイといちごポッキー〜

__私は一年前、大好きなセンパイに告白しました。
センパイの卒業式の日に...。
センパイ
貴方は少し困った顔をして
何かを探したよね。
ポケットの中
いちごポッキーを...。
『俺、いちごポッキー好きなんだ。...君は?』
私に一本
差し出してくれたね。
『私...、は、チロル...チョコが好き...かな?
...でもでもっ、いちごポッキーも好きですよっ!?』
センパイは、優しく笑った。
『...そっか。俺、チロルチョコは持ってないけど、
それはあげる。』
『...え?』
『付き合うとかは、出来ないから。...ゴメン、だから
代わりにそれをあげる』
悲しそうにほほ笑んだセンパイ。
『一本しかあげられなくて、ゴメンね。丁度2本しかな
かったんだ』
俺も食べたかったし。
...と
そう言って
貴方は私を連れ出した。
『君の気持はもらっておく。だから最後に、
俺と一緒にいちごポッキー食べよう』
...何で
そうなるんだろう。
せめて
思い出を作ってほしいってコト?
面白い言い方に
私は笑った。
...センパイから貰った
いちごポッキーは
甘酸っぱくて
とてもおいしかったのを
覚えてる。
...それからその日
センパイと屋上で
いろんな話をして。
楽しかった時は
終わりを告げたんだ_...。
______
_______...
 
_半年後。
 
センパイが癌(がん)で
亡くなったという
知らせを聞いた。
...ショックだった。
...そうか
それが分かってて
だから
あの時センパイは_...。
『とても悲しそうな顔をしてたな...』
...優しいセンパイは
私に
思い出を作ってくれた。
...でも
そんなの逆に
悲しいだけだよ
センパイ_...。
私は
センパイが亡くなったと聞いた時
すごく
すごく泣いた。
不意に
あの
いちごポッキーの
甘酸っぱい味を思い出して_...。
...それ以来
私は
センパイを思い出すたびに
いちごポッキーを
口にするようになった。
思い出しては
泣いてたけど...。
 
...それから
更に
半年が過ぎ
私も
卒業を迎えた。
...ポケットには
センパイの大好きな
いちごポッキーと
私の大好きな
チロルチョコを忍ばせて_...。
 
「あの、先輩....」
 
不意に
声をかけられた。
 
「俺、先輩のコト、今までずっと、好きでした!!」
 
...びっくりした。
いきなり
告白
されるなんて。
...一年前
センパイに
告白
したことを
思い出してしまった。
 
...私はたぶん
少し困った顔をして
ポケットの中を
探るだろう。
そこに入っている筈の
チロルチョコ
探して_...。
...確か
いちごポッキーはさっき
食べ終わってしまったんだ。
...だから丁度
ポケットの中には
“さくらもち味”の
チロルチョコ
2つ
入っているハズ。
...私は恐らく
その内1つを
その子に差し出すだろう。
 
...そして
こう言うだろう。
 
「私、チロルチョコ好きなんだ。...あなたは?」
 
〜END〜