連載小説 言霊-コトダマ- 第一話 “天変地異” 1p

香賀千里(かが せんり):
男。
頭脳明晰・成績優秀、メガネ着用。
何でもできちゃう凄いヒト。
ただし、二重人格の人間の扱いと、料理、虫が苦手らしい。魚が触れないという、ヘタレ要素アリ。
ボケとツッコミで言うなら、間違いなくツッコミでしょう。
ある女子に、テストで勝てない。万年二位。
ちなみに、その女子とは家が隣同士。昔から敵対しているらしく、忍者の家系である。
あだ名は上様(うえさま)。
容姿端麗。もてる。
あと、ちょっと俺様入ってます??
 
千里Side
 
「ねぇ、上様ぁ…」
隣のクラスの女子、鈴村真由(すずむらまゆ)が声をかけてくる。
「…何?」
俺は次の授業の準備をしていたが、顔を上げた。
すっごいキラキラした目でこちらを見ているが…。
「おねがいっっ!!教科書貸してっっ!!」
鈴村はいきなり頭を下げてそう言ってきた。
…いきなりそれかよ。
「…何の教科?」
俺が聞くと、鈴村はボソッと
「全部…」
とつぶやいた。
「はぁ!?…何、言ってんだよ、ムリに決まってんだろ!?流石の俺でも、何でも持ってるドラ○もんにはなれねーよ!!つーか普通、そういうの親友とかに借りねぇか!?」
キレちゃったよ、久々に。…つーか、バカすぎて救いようねぇし。
「だ…だって、清音(きよね)が貸してくれなくて…」
あ た り ま え だ ろ、そ れ。
「何?いつも清音…あ、いや、えー…、植崎(うえざき)に借りてるワケ?」
あぶねぇ。いつも「清音」って呼んでるから、言いそうになってしまった。
「うん。」
って、即答かいっっ!!
「そりゃ、アイツにも呆れられるワケだ」
「うわ〜ん、そんなコト言わないでよぉ、貸してってば、香賀ぁ〜…」
とうとう泣きついてきやがった。
「いや、そもそも何で俺なワケ?他の奴探せや」
俺はそう言うが、鈴村は
「むぅ…、清音と家が近いから」
とか言う。
…ありえねぇ。つーか、何でそんな…
「…ムリ。付き合ってられない。ゴメンナサイ、バイバイ。」
俺は、そうつき返して、その場から離れようとする。
「うう…何よぅ、いっつも清音に負けてるクセにっっ!!」
…ピタッ。
「何…?」
ギロッと冷めた目で鈴村を見る。
「っ…、本当の事じゃない!!万年二位っっ!!」
うっ…、コイツ、グサリと言うな…。何か、デジャヴるんですけど…。
…そうだ、‘あの時’の清音と…。
「ったく、何で‘あいつ’に似た奴が…。つーか友達だけに…?」
ボソッと俺がつぶやくと、何、この人?みたいな目で見てきやがる。
「?何ボヤいてんの?…大丈夫?アヤシイよ?」
俺はくるりと鈴村に背を向けて、「何でもねぇよ」と言うと、‘気付かれる’前に、ダッシュで逃走した。
まぁ、すぐに気付かれたが。
「…あっ、待ってぇっっ!!教科書ぉ〜っっ!!…ちっ、逃げやがった…。上様のクセに…」
…ハァ、逃げ切った…。つーか、人がその場から居なくなった途端、性格変えてんじゃねーよ。清音の友達だから…なのか?いや、関係ねーけど。
二重人格が多すぎなんだよ、俺の周囲は…。
 
植崎清音(うえざき きよね):
女。
頭脳明晰・成績優秀。極度の天然さん。
昼と夜で性格がま逆。
夜はおてんば。
(ちなみに、昼間は夜の出来事を覚えていない。)
その性格のため、千里はとても手を焼いている…、らしい。
ボケとツッコミで言うなら、間違いなくボケでしょう。
ボケボケしているため、非常に危なっかしい。容姿端麗なので、千里と歩くと、とても目立つようです。
万年一位。
あだ名は帝(みかど)。
どうやら上様と対になっている…らしい。
もてる。
嫌いなものは、千里の怒った顔。
得意なのは料理。
こちらも忍者の家系。
 
清音Side
 
「清音、結局教科書貸してくれなかったね、最後まで…」
ヘトッとした真由が言う。…流石に今回ばっかりは…ね。
「反省しなさい、真由。…ちゃんとあたしみたいに置き勉とかしないと」
「いや、清音、ソレ、手本になってないし。威張ってどーすんの…」
あたしは真由の前でふんぞり返って見せたが、逆につっこまれてしまった。…いつもボケてんのがいけないんだけど。
「しっかりしてよ、‘帝’。あんたは‘上様’と違って、万年一位なんだからっ!!」
いや、真由に言われたくないよ…。てゆうか、上様…香賀君と面識ないし…。
「…」
「?…何、ボーっとしてんの、清音?」
あたしがボケっとしてるのはいつもの事だけど。
「あ、ううん。…じゃ、あたし ここ家だから」
あたしは家に入ろうとした。…と、その時。
「ええっ、ちょっ、この家って…清音の?」
あたしの家に初めて立ち寄った真由は、びっくりした顔をした。
…それもそうだろう。こんな大きな屋敷。
「あの、もしかしなくとも、清音って…いいとこのお嬢様?」
あたしは素直に答える。
「…?そうだけど…何か?」
その瞬間、真由はその場から走って逃げ去っていた。
「…あれ、真由?…アレレ??」
ま、いいか。
…ふと、隣の家が気になり、目を向ける。
香賀君の、家…。
同じような、大きな屋敷。考えてみれば、あたし達の家って対立してるんだよね、昔から。
…アレ?…昔って、いつからだっけ…?
何で対立してるの…?
 
 -to be continued…-